歯が壊れる原因は咬み合わせ異常

何度も同じところの被せものが壊れる、欠ける、外れる。歯が折れる、割れる、歯が揺れだした等、いろいろな症状があります。その根本原因は「咬み合わせ異常」です。咬み合わせ異常により噛む力が限られた歯に特に集中してかかってしまい歯がつぎつぎに破壊されているケースがほとんどです。多くの方は歯に何か症状が出た場合には、「歯をちゃんと磨かなかったせいでばい菌が入り込み虫歯や歯周病になっているんだと思い込んでおられます。もちろん清掃不足で細菌感染が原因で症状が起こる場合もあります。

しかし、盲点となっていることがあります。それが「咬み合わせ」です。咬み合わせを無視した歯科治療は何度繰り返しても症状は再発します。歯の治療はすればするほど歯を削りますので、その結果、歯を失う時期はどんどんはやまります。咬み合わせ専門の吉本歯科医院には「歯医者さんにちゃんと通っていたのに歯周病で歯を抜かなくてはいけなくなったんです。どうしてでしょうか?」とご相談に来られます。そう、思われて当然だと、思います。虫歯や歯周病の予防と言えば、みなさん「歯みがき」や「歯ブラシ」をイメージされますよね?

テレビCMでは「歯周病予防には○◯!」とさまざまなメーカーから虫歯や歯周病予防の商品が発売されています。細菌に対する予防であればもちろんこれらの知識だけでも予防することができます。しかし「咬み合わせ異常が引き起こす破壊的な力」による症状は、実はどんなに歯磨きを丁寧にしても治りません。症状を引き起こしている根本原因が違うから、です。歯医者さんに定期的に通っていたのに歯周病になった、何度も同じところが虫歯になるという方は「咬み合わせ異常」ではないか?という視点を入れて見て下さい。

残念ながら多くの歯科医院では虫歯ができたら「悪い部分だけを削って治す」という治療がまだまだ一般的です。

歯が壊れる原因は「咬み合わせ」

咬み合わせというお口全体のバランスから歯の治療を診るという発想がないため、「咬み合わせ異常」状態を見つけだし原因解決としての積極的治療を提案してくれるところが少ないことも事実です。咬む力はみなさんが想像している以上に破壊的なものです。男性では200キロ、女性でも100キロ近い咬む力がかかっているんです。大きいですよね?

これは吉本歯科医院で患者さんに使って頂いている全身を安定する咬合マウスピースです。歯の破壊やすり減りを予防するものです。このマウスピース、硬い素材でできているんです。ですが、このマウスピースがわずか6ケ月もたたないうちに穴があき、割れてしまったという患者さんがいるんですね。つまりこれは硬いマウスピースが割れたり穴があいてしまうほど破壊的な力で噛んでいるという証拠です。マウスピースは割れたり穴が空いても修理すればいいんです。しかし、ご自分の歯が割れたり、穴が空いたらどうでしょう?修理できますか?修理できません。神経を取るか、ひどい場合には歯を抜く治療しか、ないんです。マウスピースはあなたの歯が破壊される身代わりとなってくれる重要な存在ですので必ずお使い頂きたいものです。

噛む力が男性では200キロ、女性でも100キロとお話しました。そんな力が毎日毎日、歯にかかり続けるわけです。特に咬み合わせが悪い場所にはある一点にだけ、過剰な力がかかり続けるわけです。たとえ自由診療でどんなに素材のいい強度の高い被せ物や詰め物を入れたとしても咬み合わせ異常という原因をお口の中に残したまま治療をしてしまうと近い将来必ず破壊されます。雨だれ石をうがつという言葉があります。軒先から落ちるわずかな雨垂れでも長い間同じところに落ち続ければついには硬い石に穴をあけるという意味です。たとえ弱い咬む力だったとしても毎日毎食、毎晩の歯軋りのたびに力がかかり続けたとしたら必ず破壊されていくのです。

The following two tabs change content below.
香川県高松市。かみあわせ専門 吉本歯科医院 院長 歯学博士。歯の神経治療について専門的な情報を発信。四国で唯一の接着歯科学会認定医。歯を削らず虫歯で治す虫歯治療を行っている。歯医者さんが教える歯を失わない話を各地で講演、セミナー実施。放送大学講師

「知らない」だけで歯を失っていませんか?