歯医者さんでの痛かった体験がトラウマで10数年も歯医者さんに行くことができませんでした、というお話を私たちは毎日のようにお聞きしています。全国から頂く無料メール相談でも「歯が痛くてどうしようもなくても歯医者さんが怖くて行くことができません」というお問い合わせを頂きます。さらに「口の中がボロボロでここまで放っておいたことを怒られるのが怖い、口の中を診せるのが恥ずかしい」というお悩みも頂きます。虫歯は放置され続けます。理由は「歯科治療が嫌われているから」です。痛い上になかなか治らない。歯をどんどん削られる。さらに痛くなる。だからますます歯医者へは足が遠のく。この連鎖です。吉本歯科医院では、そもそも虫歯をすべて削って被せ物でふたをするという発想の歯科治療を行っておりません。虫歯になった歯をゴッソリと削り取るから痛いのです。歯をどんどん削るから歯の神経に近くなり痛みが出るのです。痛みが出た時にはもう「歯の神経を取るしか治療はないですね」となります。歯の神経を取るとその歯は死んだ歯になり、歯を失う時期が一気にはやまります。歯をできる限り削らず神経を残す治療を行うことができれば、日本中の「歯医者がトラウマ」の患者さんの意識を変えることができるのではないかと思うのです。虫歯を削らず薬で消毒して歯の神経を残す治療があることを知って下さい。
Contents
歯医者さんがトラウマの方へ
なぜ虫歯が放置され続けるの?
吉本歯科医院の痛くない無痛治療への取り組み
①歯茎の表面に麻酔(表面麻酔)
②表面が乾燥したのを確認後、表面麻酔薬を麻酔刺入予定部位に塗ります。
③「しばらく薬が浸透しやすいように押さえて下さいね」とお伝えし、1分ほど表面麻酔薬が粘膜に浸透するのを待ちます。押していただくほど浸透しやすくなります。以前はマッサージするように揉んでいただくようにしていましたが、大きく広くマッサージしすぎる方もいらっしゃり逆に局部の麻酔が流れて薄まってしまう方がいらっしゃいましたので、今ではそのまま強く押さえていただくようにしていただいています。
この①から③の行程を行うことにより歯茎の表面がマヒした感覚になっていきます。この状態になると痛みを感じにくい状態になるのです。
②痛みが少ない超極細の針33Gの注射針
イメージして下さい。シャーペン(シャープペンシル)って使われますか?
一般的に使われているシャーペンの芯は0.5ミリなんです。芯の細さによって値段が違うんです。0.2ミリや0.3ミリのシャーペンの芯は細く狭い場所にも綺麗に書けますし、本来製図用に使う用途が多いため高価な値段です。シャーペン本体の価格も高価で構造も違います。0.2ミリや0.3ミリのシャーペンの芯は手で触ると簡単に折れてしまいます。シャーペンに慣れていないお子さんがいきなり細いシャーペンを使うと簡単に針が折れてしまいます。だから0.2ミリ、0.3ミリ専用のシャーペン本体が必要なのです。
麻酔の注射針も同じです。吉本歯科医院で使用する歯科用世界最細33G注射針を使うためには専用の器械が必要なんです。吉本歯科医院で採用している器械が電動麻酔器「アネジェクト」です。高価で残念ながらすでに製造中止となってしまいました。製造再開を祈るばかりです。後継機といわれている「アネジェクトⅡ」が2011年から販売されています。「アネジェクト」はもう購入することができませんので、大事に大切にメインテナンスしながら使用しています。
極めて細い注射針のため麻酔液はちょっとずつしか注入できないようになっています。ちょっとずつだから痛くないんです。太い針だと薬液が一気にドーンと体内に入ります。一気にドーンと入るから痛いのです。
③体温に近い麻酔薬を注入
一般的に歯科医院では麻酔の薬液は冷蔵庫で保存されます。薬液も腐りますので腐敗を防ぐために冷蔵庫に保存するのです。薬液のケースには保存方法として遮光して冷所に保存するようにと記載されています。また凍結させてはいけないとも記載されています。
冷蔵庫に保存しているので薬液は冷たいです。しかしここで想像して下さい。冷たい飲み物を一気にガブのみしたらお腹がキュインと痛くなりますよね?体温とかけ離れた温度を体内に急激に入れるということは痛みを感じるということなのです。極力体温と近い温度のモノを体内に入れるということも痛みを感じにくくするコツなのです。こういった工程をひとつひとつ行っているため吉本歯科医院ではどうしても麻酔だけで5分以上の時間が必要になります。手際の良い先生であれば簡単な治療が終わってしまう時間です。最近の夏は暑いので薬液をあたためる必要はないのですが冬は室温も冷えますので麻酔薬も冷えていることがほとんどです。歯医者さんの麻酔の注射が痛いか痛くないかの差は「温度管理」という要素もあるのです。吉本歯科医院では、その日必要なだけの麻酔薬を前日に冷蔵庫のアルミパックから出し、保温器に入れ温めています。これは毎日のことですので手間がかかりますが、その工程をきちんと行うことで患者さんのお痛みの軽減が実現することができるのです。
では、麻酔の薬液ひとつとってもどこからどのように購入するのか?とても重要な問題です。歯科材料含めネットでいろんなものが安価に宅配で購入できる時代になりました。歯科材料も歯科薬品もインプラント 体も通販の時代です。しかし、吉本歯科医院では自由診療に使用する接着材料、麻酔薬や抗菌薬は必ず正規製品の購入ルートで社員さんが配達をしていただける歯科商店の玉井歯科商店さんや医療用医薬品卸売業の株式会社アスティスさん等にお願いしています。確かに同じメーカーの同じ商品なのかもしれません。でも中身は違うかもしれません。例えば高級ホテルのソムリエさんが高級シャンパンを日本に輸入するとイメージしてみてください。
ホテルといえどもコストカットが必要で安価だからと長い船便の並行輸入品を使われるのでしょうか?何が問題なのでしょうか?確かにメーカーから出荷されたときはまったく同じ商品です。特に問題なのは特に取扱方法と温度管理です。歯科材料は生ものです。つまりは取り扱われている方々の意識です。生肉が冷凍したり解凍したりといった温度変化に弱いのと同じように歯科材料も温度変化に弱いものがあります。クール便で送ってもらっているから大丈夫?本当でしょうか?その運送業者さんは各拠点に大型の冷蔵庫を完備管理できているのでしょうか?トラックに乗せる分を少しずつ冷蔵庫からだしているのでしょうか?冷蔵庫の庫内温度が上がり過ぎないようにある程度の量を冷蔵庫から一気に出して、そこからトラックに小分けしたりはしていないのでしょうか?新品商品やしばらく使われていなく久々に使用する材料の最初に出てくる部分をしっかりと破棄するようスタッフに指示できていますか?シリンジ先端部のペーストが分離し、透明な液が出る場合があります。透明で確認しにくいですが廃棄できていますか?一部の表面処理液は野菜ドレッシングと同じです。使用する直前に容器をしっかりと振ってから準備できていますか?もし野菜ドレッシングを振らずに使うといかがでしょうか?混和皿に準備されて容器の最初にでてくる内容物と最後の方にでてくるドレッシングでは味がきっと変わりますよね?接着処理液であるプライマーを使用直前に混和皿に出されていますか?5分も経過すれば・・・。ドレッシングと同じですね。分離してしまいます。一部の成分が蒸発します。濃さが変わってしまいます。照明の光で一部反応してしまいます。材料によって成分は当然違います。常に最新の情報、知識を学ぶことは重要と考えています。メーカーからの報告されたデータをそのまま臨床に応用できると鵜呑みにするのは危険です。学会でも実験の結果からは言い過ぎの結論を報告しているケースもあります。
院長、吉本彰夫は(一社)日本歯科理工学会(http://www.jsdmd.jp/certification/list.html)のDental Materials Senior Adviserとして学び続けております。
※学問として専門的に研究している分野を歯科理工学といい、公的な学会が日本歯科医学会専門分科会の(一社)日本歯科理工学会です。日本歯科理工学会は、材料に発ガン性や催奇形性、毒性があったり、強さが弱すぎたり、変色したり、すぐに錆てしまったり・・・、そのようなことがない材料の開発の他に、患者さんが歯科医院で目にする器械の他にも、患者さんの目に触れないところでがんばっている器械・器具も対象として、主に技術面からこれらをバックアップすることで社会貢献をしている学会です。
④麻酔薬を注入するスピードのコントロール〈歯科麻酔用刺激電動注射器)
⑤麻酔が効きにくい方の場合の麻酔注射
吉本歯科医院では麻酔が効きにくい患者さんの治療の場合には、アネジャクトに加え、上記の器械を使い麻酔を効かせるということを行っています。通常麻酔が効きにくい方には伝達麻酔という顎近くに麻酔を行う方法もあります。しかし伝達麻酔は患者さんご自身へのお身体の負担も大きくリスクもあります。麻酔をすること自体にリスクがあるのです。なのでこの電動式注射器等を使うことによりこのリスクを大幅に軽減することができるのです。