歯の神経が既に死んでいる場合
歯の神経を残したくても残せない場合もあります。
最も多いのは、患者さんご自身に自覚症状がないまま「歯の神経」が内部で知らない間に死んでしまっていた場合です。
歯の神経はばい菌が到達していわゆる免疫佳との戦いがはじまることによって神経の痛みを感じますが、ばい菌により歯の神経が殺されてしまうとその途端に「痛みを感じない」となります。
先週までものすごく痛かったのに、今週はうそみたいに痛みが引いてきたという体験がおありになる方が多いと思います。
それは歯の神経が死んでしまったからバイキンに負けて戦うことができなくなってしまうのです。
歯の神経は死んでしまったり、神経を取ってしまったりすると歯は痛くなくなります。
歯の神経を残せるか残せないかのポイントです。
1本の歯に何本か神経が通っている歯の場合には、その内の1本の神経が負けて死んでしまってもそのうちの1本でも神経が戦っている場合にも痛みを自覚症状として感じません。
歯の神経が死んでしまったとしてもばい菌に殺された神経の死骸を除去してやらないと細菌はずっと生きて繁殖し続けます。
歯の神経を殺しただけなく今度はその先の骨や歯茎さえも侵食していくのです。
細菌の住み処である歯の根っこ(根管)の中を早く掃除してあげないとどんどんどんどん細菌は奥へ奥へと入っていきます。
歯の神経を取る治療というのは読んで字のごとく歯の神経を取る治療だと思われている方が多いのです。
しかし実はそうではないのです。
すでに死んでしまった歯の神経の死骸をきちんと除去し歯の根管の中をきれいに消毒するということを意味する場合もあるのです。
ばい菌に侵され死んでしまった歯の神経は生ゴミが腐敗している状態と同じです。
腐敗しているのでにおうと臭いです。腐っていくとガスを出すのです。
ガスが出ると圧力が高まります。そうすると歯の神経は死んではいるんだけれども、周りの骨や歯茎が溶かされることにより顔が腫れてくるような方までいらっしゃいます。
すでに歯の神経の治療で神経を取ってしまった方でもバイ菌に侵された場合にはいきなりこの状態にまでなってしまうこともあります。
顔が腫れてしまっているような場合には一刻もはやく歯の根っこの中にいる細菌を減らしてあげるということが必要です。
また歯を支えている骨を溶かしたバイ菌達は最後にどこへ行くのでしょうか?
実は歯の神経というのは脳と繋がっているのです。
例えば指先を考えて下さい。
指先の神経は指先だけでしょうか?違いますね。
指先は脳から繋がった神経なのです。神経の一部に過ぎないのです。
つまりバイ菌は歯の中の神経だけを死なせるわけではなく、歯の外の周囲の骨や歯茎の神経も殺して行きます。
そして骨を溶かしていくのです。
そしてとうとうその奥には太い神経・血管が控えているのです。
そこにたどり着いたバイ菌はどうなるんでしょう。
一気に全身を巡って行ってしまうのです。また鼻の空間(特に上顎洞)に住処を拡げていきます。
ずっと鼻で苦しんでいたのに原因は口だったということは実はよくあることなのです。
もうすでに痛みがなく歯の神経が内部で死んでしまっている場合でも歯の神経の中のばい菌を死滅させる処理は必要です。